武蔵野大学有明キャンパスの屋上菜園を見学!

2024年3月9日、「まるっとサステナキャンプ」課外授業として、武蔵野大学有明キャンパス内にある屋上菜園を見学しました!

こちらの屋上菜園は、「まるっとサステナキャンプ」メンターの明石 修先生が数年前から学生と協同して開拓している場所です。さらに、「何をしていてもよい場所」であり、学生や教職員が対等な関係になれる空間でもあるそうです。
天気に恵まれた中で、のびのびと見学させていただきました。

本レポートでは、その様子をお届けします!

書いた人:大塚瑠奈
駒場学園高等学校 普通科

「将来は川崎市の行政の公務員になりたい!」という想いのもと、地域でのボランティア活動などを通して地元貢献や社会貢献に取り組んでいます。その傍ら、コロナ禍をきっかけに手話を勉強中。昨年度からは聴覚障害を軸に探究活動をしています。

ソーラークッカーで焼き芋づくり

明石先生に案内していただき屋上菜園に到着した後は、まず焼き芋づくりに取り掛かりました。
火力や電力を使うような、一般的な作り方ではありません。
私たちは、「ソーラークッカー」という、直射日光のエネルギーを利用して食品を加熱したり調理したりできる道具を使いました。

初めて見る道具に、インターンやスタッフたちは興味津々!

そして、ここで登場するのが、あらかじめ買っておいたさつまいもです。
ソーラークッカーを使った焼き芋づくりの手順は、以下の通り。

①カットしたさつまいもを、小石を敷き詰めた小鍋の中に入れます。

②そこに少量の水を回しかけ、空いた隙間に追加の小石を詰めます。

③小鍋に蓋をし、ソーラークッカーの中心の台にセットしたら準備完了!

また、ソーラークッカーはその中心に日光を集めなければいけません。そのため、太陽の方向と合うように時折向きを調整しながら調理をすすめていきます。
この時は雲一つない晴天ということもあり、明石先生の「40分くらいかな」という見込みの元、出来上がりを待つことに。
その間は、明石先生から屋上菜園に関する説明や案内をしていただきました。

40分が経過し、ソーラークッカーから取り出した小鍋のふたを開けてみると、出来上がった焼き芋は黄金色に!
外側だけでなく、内側の方までしっかりと熱が通っていました。
糖分が焼き芋全体に詰まっていて、とても美味しかったです!

屋上菜園の説明と案内

人と自然が共に豊かになるような関係を築いていく暮らしと環境のデザイン手法。
それが、明石先生が大切になさっている『パーマカルチャー』です。

そして、
それを実現するための場所を学校の中に創りたい!
という想いのもと、『パーマカルチャー』や『Regeneration(再生)』の実験場として屋上菜園を運営しているそうです。
また、コロナ禍初頭は半年ほど大学が休校していたこともあり、「人が集まれる場所」という点も重視しているとのことでした。

さて、この屋上菜園では、四季折々の植物が育てられています。
屋上の入り口付近にあるのは、清潔感のある香りが特徴的なゼラニウムや、ブルーベリーです。

そして、お次はその反対側にある畑。

こちらの屋上菜園では、
農薬や化学肥料を使わず、田畑は耕さない
という、「自然農」に近いやり方で植物を育てています。
ゆえに、屋上菜園内ではいくつもの工夫が施されているのです。

例えば、雑草に思われることが多いカラスノエンドウ。その根を観察すると、白くて小さい粒がたくさん付いています。

これはマメ科植物の根に共生する「根粒菌」という菌で、大気中の窒素をアンモニアに変換してくれるのだそう。

さらに、屋上菜園内の所々に植えられているネギはその特有の殺菌作用から、じゃがいもなどの連作障害防止に役立てられています。

また、屋上菜園の中心部には、「協生農法」を実施している畑もあります。

ここは、そら豆や菜花、オリーブなどといった異なる植物が混生、および密生しているエリア。
いろいろなものを混ぜて植えることでバランスが良くなり、豊かな生態系の安定につながります。
そして、そこから少し移動した所にあるのが、イチゴやニンニクなどが育てられている畑です。

ここの特徴は、土の周りに石垣を作ることで地中に熱が貯まりやすい仕組みになっているということ。
そのため、地中の熱がイチゴの成長を促進してくれます。
そして、コンパニオンプランツの関係にあるニンニクとの混植により、イチゴは病害虫から守られるのです。

このように一つのもので複数のことが満たされる性質を多機能性といい、それは屋上菜園全体で強く意識されています。

そしてなんと! 屋上菜園には畑だけでなく、田んぼや、養蜂のための巣箱などもあります。
屋上菜園での稲作は、昨年から開始されました。
私たちが訪れたこの日は初春なので残念ながら稲刈り後の姿でしたが、昨年はたくさんお米を収穫できたのだそうです。

田んぼを見たスタッフからは、「ヤゴとか出たらいいね」という言葉も。

たしかに、そうなればさらなるパーマカルチャー推進につながるのではないでしょうか。

上の写真は、養蜂のための巣箱と、そこで採れた蜂蜜です。この鮮やかで透明感のある素敵な色合いに、うっとりしてしまいます。

また、屋上菜園にいる間、私たちはそこで育てられている植物を味見したり、ハーブティーにして飲んだりしました。

その一部をご紹介します!
・春菊の花
・白菜の花
・ブロッコリーの花
・カブ
・ハーブティー(ミントとローズマリーのブレンド)

特に、採れたてのカブは、みずみずしいだけでなく甘さもあり、とても美味しかったです。

そして、摘みたてのミントとローズマリーをブレンドしたハーブティーは、爽やかな香りと上品な味わいを楽しめるものでした。

コンポストのすゝめ

屋上菜園には、2種類のコンポストも設置されています。
一つ目は、キャンパス内のカフェで出たコーヒーかすや生ゴミなどを混ぜたものです。

二つ目は、落ち葉と米ぬかのコンポストです。

作り方は、落ち葉と米ぬかを10対1の割合で入れ、その50〜60%の分量の水を加えるだけ。
ものの一日で50度以上に達するそうです。

「ゴミと思われているものを、いかに資源と考えるか。」

という、明石先生の言葉が印象的でした。

パーマカルチャーについて考える

見学の最後を飾ったのは、『いかしあうつながりデザインカード』を通してパーマカルチャーについて考えるというワークでした。

このカードは、NPO法人Greenz(https://greenz.jp)によって制作されたものです。

私たちは二人一組をつくり、
「パーマカルチャーの倫理1_人を大切にする」
ということについて各ペアで意見を出しあいました。

そして、それを具体的に考えるための例としてカードの裏面に書かれていたのは、

自分を大切にするって何だろう?
あらゆる人を大切にするって何だろう?
あらゆる人を大切にするにはどうすればいいんだろう?

という、3つの問いでした。

一見すると容易く感じられますが、いざ考え出してみると本当に難しいのです。
インターンやスタッフたちは、問いに対する自らの考えを言語化することに苦戦しながらも、真剣に取り組んでいました。

そして、ペアで出た意見を全体で共有する時間では、
「自分を大切にするために、ご褒美があるといいかも!」
「あらゆる人を大切にするということは、その人たちの意見を尊重するということでは?」
など、多種多様な意見が出ていました。

今まであまり考えることがなかったテーマであるため、インターン、スタッフ一同にとって有意義な時間になりました。

まとめ

明石先生の説明や案内のもと進行した今回の見学。

明石先生が持つまるで農業大学の教授かのように豊富な知識には、いたる所で驚かされました。見学中に得た環境や農業に関する学びは、とても多かったです。
そして、その中には、「この取り組みなら家庭菜園でもできそう!」というものがいくつもありました。

また、屋上菜園にあるもの全てがパーマカルチャー実現につながっていて、循環の仕組みの奥深さを体感しました。
それと同時に、屋上菜園にいると、視界に必ず緑が入ります。人間にとっても癒しの空間になっているのだということを、あらためて感じました。

私たち「まるっとサステナキャンプ」一期生の活動は、同月開催の活動報告発表会をもって区切りを迎えます。
最後まで、私たち一期生の勇姿を見守っていただければ幸いです。